XBRLの可視化(貸借対照表)

財務諸表と言えば、貸借対照表(BS)に損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF)でワンセット。今回は、XBRLデータから貸借対照表の可視化について取り上げて見たいと思います。

財務会計の教科書では、貸借対照表は一般に以下のように図示されます。

資産負債
純資産

今回の開発では、できるだけこの形のまま表現したかったので、借方、貸方それぞれをスタックチャートにして組み合わせてみました。XBRLでは、各科目の構成要素も定義されていて、計算リンクベースでは、資産(Assets)は、流動資産(CurrentAssets)と固定資産(NoncurrentAssets)の合計額として定義されています。こういった情報を利用すれば、更に明細に踏み込んだ可視化が可能です。

道具立ては改めてご紹介しますが、可視化にはd3.jsをベースに財務諸表用チャートライブラリを開発し、SVG(スケーラブルベクターグラフィックス)で展開しています。以下のサンプルはブログに添付するため画像に落としたものです。サンプルは、最近ゴーンさんで話題の日産自動車です。2018年3月期迄なので、ちょっと時間が経っていますが(2019年3月に差し替え)。

日産自動車の貸借対照表推移 2019年3月期迄
日産自動車の貸借対照表推移 2019年3月期迄

貸借貸借表をそのままチャート化し、資産、負債も流動、固定に分けて明示することで、財務概況も一見してつかみやすいかと思います。ついでに、純資産比率も折れ線グラフ(何となくスプラインにしてみました)で加えてみました。

チャート上に表示されている各勘定科目はSVGオブジェクトで、クリックすると更に内部構造が展開可能になっています。以下は、日産の流動資産の内訳です。

日産自動車の流動資産推移 2019年3月期迄

項目が多いので、配色にもう少し工夫が必要かもしれません。各科目は、ここから更に下位構造がなくなるまでクリック一つで内訳をチャートで表示することができるようになっています。

ただ、貸借対照表の構造はどの会社でも一様というわけでもなく、Assetsの直下に多数の資産科目が定義され、流動、固定のような集計科目が介在していない業界もあり、常に上記サンプルのようになるわけではありません。また、米SECのEdgarからもデータを取って可視化を試みていますが、こちらも会社によって構成が違っているようです。

作成したチャートシステムは、2019年10月から公開中です。日本の全上場企業及び米国企業の一部の財務諸表をインタラクティブチャートとして見ることができます(使い方はこちら)。

URLはこちら、https://www.tukuttemiru.biz/zhack/

とりあえず、今回は貸借対照表の基本系の可視化について書いてみました。今後はちょっと複雑めの業界や米国の会社の貸借対照表の可視化結果なども取り上げてみたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA