XBRLから棚卸資産回転日数を可視化してみる

経営効率を在庫に着目して計る指標に棚卸資産回転日数があります。棚卸資産とは、製品や仕掛品、原材料などで、貸借対照表の流動資産に計上されています。計算は、棚卸資産を1日平均売上、若しくは1日平均売上原価で割って求めます。経営分析の教科書でも、売上ベースで説明しているものと、原価ベースのもの、或いは両方掲載しているものもありました。どちらで計るのが良いのかは、業界に依るのかも知れませんし、個別の会社の事業内容に依るかも知れず、ここでは両方表記することにしました。

可視化処理では、棚卸資産、売上原価、売上を一組とした棒グラフに、各回転日数を折れ線グラフで重ねることにしました。こうすることで、売上、売上原価、棚卸資産の推移と合わせて回転日数を評価することができます。ただし売上、売上原価は、年間の数字を12で割った1ヶ月平均で表示しました。こうすると棚卸資産が、売上若しくは原価と同じ高さの時に、回転日数が1ヶ月ということになります。

最初の例として、自動車業界から日産を取り上げてみます。本当は、カンバン方式で有名なトヨタを取り上げたいところですが、連結決算が日本会計基準でない会社については、現状処理できない問題があり、この点については別の機会に記事にしたいと思います。

日産自動車の棚卸資産回転日数推移 (2018年3月期)

売上ベースで40日程度です。自動車メーカーでは他の会社も見ていますが、大体の40日前後でした。次の例は、先日会社更生法を申請したシベールです。

株式会社シベールの棚卸資産回転日数推移(2018年8月期)

直近の8月期には、前期に比べて棚卸資産回転日数が急激に増えています。また、売上高は2015年から約2割減っているのに、棚卸資産は逆に増えるなど、経営効率が落ちてきているのがわかります。

棚卸資産回転日数については、今後複数社間の比較も試してみたいと思いますが、様々な事業を同時に行っている会社では、単純な比較は難しいかも知れません。一方で、一つの会社で回転日数に大きな変化があれば、事業に何かしらの状況が起こっていることも予想できそうですし、今後そういった面も含めて検証してみたいと思います。

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