前回は、JR上場4社でクイズを作ったのですが、そこでは実額表示のチャートを使いました。今回は、勘定科目の構成比率でクイズを作ってみました。比較する会社の規模に大きな開きがある場合は、実額表示では簡単に推測できてしまうためです。
【財務諸表クイズ】「地所」で上場企業を検索すると、三菱地所と明和地所の2つの会社が出てきます。以下は、2018年3月期の両社の貸借対照表、営業損益を構成比率でグラフにした物です。A社、B社は、それぞれどちらの「地所」に該当するでしょうか?
三菱地所と明和地所とでは、資産規模で2桁違うので、金額でグラフにするとクイズとして成立しません。多分「三菱」と名のつく方が大きいだろうと誰でも推測するでしょう。そのため、ここでは各社の資産、売上の大きい方を100として、各勘定科目の比率でグラフを描いています。
都市圏では、たまに郵便受けにマンションの広告が入っていたりするので、明和地所をご存知の方も多いかと思います。明和地所は、全国の都市圏でクリオマンションを展開している会社です。
一方三菱地所と言えば、大手町や丸の内といった東京駅周辺を始め、日本の主要各所に多数のビルや土地を所有する日本最大級の不動産会社。連結小会社に「ザ・パークハウス」マンションを展開している会社もあるので、明和地所と事業としてかぶっている部分もあります。
答えとしては、明和地所はマンションを建てて売るタイプの不動産事業者なので、流動資産の割合が大きくなり、A社が明和地所。相対的に固定資産の割合が大きいB社が三菱地所となります。巨額の固定資産で稼ぐ業態のため、BSよりPLがかなり小さめになるのも特徴になるかと思います。
各勘定科目は比率で描いているのですが、パッと見にAの方が売上が多そうなので三菱地所と間違った人もいるかもしれません。金額を入れたチャートにすると、以下のようになります。
会社の規模としては比較になりませんが、勘定科目の構成比率を比較する形式ならクイズとしてそれなりに成立するかなと思うのですが、いかがだったでしょうか。
三菱地所のIRを見ると、2018年3月期のマンション事業の売上収益が、約4,000戸、2,541億円とあるので、マンション単体の事業でも明和地所の5倍程あります。それにしても、単純に戸数で収益を割ってみると6,000万円超。パークハウスは高いというイメージでしたが、やっぱり高いですね。
今回、比率表示の問題を作るために、XBRL可視化システムにやっつけでコードを埋め込んでみました。可視化にはd3.jsを使っているのですが、ScaleとAxisを使ったトリック程度で書いています。実際作ってみると、この表示は複数社の比較には便利そうなので、ここはきっちり機能として作り直してみたいと思います。
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