【決算チェック】パイロットと三菱鉛筆 2018年12月期

前回は、セーラー万年筆を取り上げたのですが、同じ12月決算に筆記具メーカとしてパイロットと三菱鉛筆もあったので取り上げてみます。3月は新卒、新入学とあって繁忙期になるのか、業界としては3月決算を避ける傾向にあるのかも知れません。ブログのタイトルを「ボールペン対鉛筆」にしようかと思いましたが、両社とも幅広い製品を展開しているのでやめました。まずは、BS, PLの対比チャートから。

パイロットコーポレーション、三菱鉛筆のBS, PL対比チャート 2018年12月期

チャートは、比例縮尺で描いています。総資産では、ほぼ同規模の両社ですが、売上高では随分差があり、総資産回転率ではパイロットが大きく上回っています。一方で三菱鉛筆の純資産比率の高さも目に付きます。次は、流動比率推移。

パイロットコーポレーション、三菱鉛筆の流動比率推移 2018年12月期

パイロットの流動比率2.48倍も十分高いのですが、三菱鉛筆は4.76倍、現預金は年間売上高の7割程もありキャッシュ・リッチな会社です。悪く言えば、潤沢なキャッシュが事業で回っていないとも。とにかく両社とも財務体質は堅牢そのもの。次は各段階利益推移です。

パイロットコーポレーション、三菱鉛筆の各段階利益推移 2018年12月期

売上総利益率はほぼ同水準ですが、営業利益率はパイロットが5%程上回っています。ついでに、両社のキャッシュ・フローの推移も見てみます。

パイロットコーポレーション、三菱鉛筆のキャッシュ・フロー推移 2018年12月期

両社とも営業キャッシュ・フローが安定して推移しています。パイロットは、2017年12月期の財務キャッシュ・フローのキャッシュアウトが目立ちますが、これは自社株買いによるものです。最後は棚卸資産回転日数。

パイロットコーポレーション、三菱鉛筆の棚卸資産回転日数推移 2018年12月期


三菱鉛筆は、棚卸資産の構成を開示していないので「たな卸資産」となっています。展開している商品が違うので、一概には言えませんがパイロットの回転日数が10%程早いようです。ところで、前回取り上げたセーラー万年筆もそうでしたが、棚卸資産の回転速度が昨年特に落ちているようです。もしかしたら業界全体の傾向かも知れません。こうなると、せっかく上場企業の財務諸表データを集めているので、横断的に各種経営指標を統計・分析するようなこともやってみたくなります。ただ、現状のXBRLには、勘定科目やその階層構造の不統一など、横軸できっちり切りにくいところがあります。そう言ったXBRLの構造的な問題点についても、今後取り上げてみたいと思います。

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