【決算チェック】サーバ屋さんの財務諸表 さくらインターネット 2019年3月期

そろそろ3月決算の会社の株主総会が佳境を迎えつつあり、6月後半からXBRLの登録も本格化します。前半で登録された会社を一覧して眺めていたら、レンタルサーバー屋さんのさくらインターネットの直近3月期のXBRLが上がっていたので取り上げてみます。ちなみにこのブログは、GMO系のサーバを使っています。サーバーも価格帯やサービスなどピンキリですが、そうした事業を営む会社の業績はどうなのか、さくらインターネットの財務諸表を可視化してみます。まずは、基本3諸表から。

さくらインターネット 財務諸表推移 2019年3月期

今回から、損益計算書に売上の推移を示すラインチャートを加えてみました。最初の年を100として、翌年以降はその対比です。これまで損益チャートを出していて、売上の伸び率が具体的にわかりずらい気がしたので、試しに作ってみました。いかがでしょうか。利益率を加えてもよかったのですが、利益率は別途分析チャートを作っているのでそちらに譲ることにしました。さくらインターネットの売上推移をみると、2016年時点から60%も伸びているのがわかります。ここからもインターネットがまだまだ成長している様子が伺えます。ただ、その割に利益がついて行っていないようにも見えます。貸借対照表チャートでは、固定資産の割合が高く、インフラで稼ぐ会社の特徴が出ています。一方貸方(右側)では、純資産比率が急に落ちています。純資産自体は微減なので、伸びているのは負債のようです。流動比率がちょっと気になります。

さくらインターネット 流動比率推移 2019年3月期

流動比率はここ数年徐々に落ちていて直近で0.82です。ただ、負債側で最も大きい幅を占めているのは前受金で、これはサーバー等サービス代金の前払いされた分で、いずれ売上に振り替わる勘定なのでいわゆる借金とは異なります。私もGMOでサーバを借りていますが、年額前払いしていて、その内未使用月分は前受金で管理されているはずです。前受金を外すと流動比率は1倍を超える感じでしょうか。流動比率を見るときには、単純に数字だけでなく内容にも目を配る必要があります。もちろん前受金は、不測の事態でもあれば返金しなければならないお金ですので負債ではありますが。次は各段階の利益率です。

さくらインターネット 各段階利益推移 2019年3月期

利益率が年々落ちてきています。特に営業利益率の落ち込みが顕著です。インターネットに国境はありませんし、最近は海外の割安サーバも台頭してきているので価格競争が激しいためか?と勝手に推測したのですが、同社の決算短信を読むと、その原因は「エンジニアの増員による人件費の増加及びサービス機材増加に伴う経費の増加など成長のた めの先行的な人材・設備への投資により….」とあって、先行投資的な要因が主なもののようです。確かに、売上は順調に伸びていますし、事業はこれからも拡大基調が続くものと思われます。重要なのは、この先行投資が一巡して利益率が反転上昇するのかですが、今後の推移も見て行きたいと思います。

ところで、記事では前受金に触れましたが、勘定科目には、最終的に売上や費用に振り替わって蒸発する迄の間、一時的にBSに留まるものが多々あります。経理のお仕事では、これらの残高はきっちり管理し、適切なタイミングで振り替えて消し去る必要があります。以前勤めていた会社の経理システムでは、売上については年額受け取っても自動的に月次で振り替えてくれたので手間いらずでしたが、前払金の類は手で仕訳を起こしていました。間違って残高が合わなくなるなんてことは許されませんし、経理のお仕事は地味に見えて、とても緊張感のある仕事でした。だから辞めたわけじゃありませんが、ちょっとその緊張感を思い出しました。

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