【決算チェック】チケット屋さんの財務諸表 ぴあ(株) 2019年3月期

チケットぴあの2019年3月期のXBRLがEDINETに登録されてきたので取り上げてみます。ぴあについては、以前読んだ財務分析の本「ビジネススクールで教える経営分析」(日経文庫)の第2章「ビジネスのスピード」の「大きなPL」で紹介されていました。本で紹介されていたのは、2017年3月期の決算書ですが、その後2期を経てどのような変化があったのか、本の内容に沿って記事を書いてみたいと思います。

この本では、「大きなPL」として紹介されていますが、これはBSに対して大きいと言うことで、BS、PLの対比チャートで直近3月期の様子を可視化してみます。

ぴあ BS/PL対比チャート 2019年3月期

本では、「BSは430億円なのに対して、PLは1,500億円で、総資産回転率3.6倍」(2017年3月期)として「大きなPL」のサンプルとなっていましたが、直近3月期では、回転率が若干落ちているようです。総資産回転率の推移をチャートにしてみます。

ぴあ 総資産回転率推移 2019年3月期

売上以上に資産が伸びたようで、この2年で2.88倍まで落ちてきました。先の本では、ここから利益の話に移るのですが、「原価率が大変に高く、91.7%にもなります。営業利益は、18億円で、ROSは1.2%です。」と原価率の高さ、営業利益率の低さに言及しています。その後利益がどのように推移しているのか、ぴあの各段階利益率を可視化してみます。

ぴあ 各段階利益推移 2019年3月期

原価率は、利益側から見ると売上総利益率(粗利率)になりますが、直近で8.24%と微減、営業利益率は更に下がって0.76%となり、金額も14億円弱と2017年3月期から4億円ほど落ちています。売上が順調に伸びている一方で利益は出にくくなっているようです。

ぴあが「大きなPL」で紹介されてる程にBSとの乖離が大きく、且つ薄利であるのは売上に受託販売的な要素があるのも原因でのようで、その辺りは棚卸資産も絡めて説明されています。ぴあの棚卸資産回転日数を可視化してみます。

ぴあ 棚卸資産回転日数推移 2019年3月期

棚卸資産が小さすぎて、スタックチャートが潰れています。「売上原価1,400億円に対して、棚卸資産は1.5億円程度で、半日分の在庫しかありませんから、….」と続くのですが、確かに原価ベースで半日程度の在庫になっています。ここから先は、ちょっと会計的な話になりますが、ご興味があれば先の本を読んでいただければと思います。最後に、基本3諸表の推移もチャートにしておきます。

ぴあ 財務諸表推移 2019年3月期

売上の増加と共に、流動資産が増えているのはともかく、固定資産も何気に増えています。ちょっと気になるので内訳の推移も見てみます。

ぴあ 固定資産推移 2019年3月期

どの項目も増えていますが、無形固定資産はソフトウェア及びその仮勘定でした。チケットもネット販売が中心になっていると思われるのでこれは肯けます。一方で有形固定資産の伸びは何だろうと、これまた気になるのでもう一段潜ってみます。

ぴあ 有形固定資産推移 2019年3月期

何と、主な増加要因は建設仮勘定でした。建設仮勘定とは、建設中の建物等への支出を完成するまでの間計上しておく仮勘定で、完成後に建物等の固定資産に振り替え、減価償却が始まります。2016年まで数億円規模だった有形固定資産が、突然大きく立ち昇っています。豪華な自社ビルでも建てているのだろうかと、同社の決算短信を読んでみたら違いました。横浜のみなとみらいに音楽専用アリーナを建設しているようです。名称は「ぴあアリーナMM」。前期までで40億ですから、今期分も合わせると総額80〜100億円ぐらいにはなるのでしょうか。来年春の開業のようですが、これが完成すれば、ぴあにはチケット販売とは別の固定資産をベースにした事業形態が生まれるわけで、財務諸表の表情も変わってくると思われます。来期以降もデータを取ってその変化を見てみたいと思います。

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