3月期決算のXBRLの登録も佳境を迎えており、日々多数の企業名が上がって来ています。国内の企業は、3月決算の会社が圧倒的に多く、XBRLはまさに書き入れ時。本来決算発表と同時に登録があれば、4月にはデータを見ることができるのですが、金融庁のEDINETでは株主総会後となるので、新年度の第一四半期が終わるこの時期になってしまいます。以前の記事でも触れましたが、決算発表と同時に登録される米国SEC/EDGARとはスピード感が随分違います。財務諸表データは新鮮さが命。
ところで、XBRLでは勘定科目の名称はラベルとして提供されるのですが、EDINETのXBRLでは、日本語版に加えて英語版も提供されています。せっかくなので、現在開発中のチャートシステムに、英語ラベルに切り替える機能も実装してみました。
今日はその英語ラベルを使ったサンプルとして、本日XBRLの登録があった東京エレクトロンを取り上げてみたいと思います。東京エレクトロンは、半導体関連装置メーカーとして急成長を遂げている会社です。ただ、最近は米中貿易戦争の影響もあり、他の半導体銘柄同様に株価も乱高下。市場予測もネガティブな話が多い中で、成長の鈍化や、在庫状況に変化が見られないか、XBRLから展開したチャートで覗いてみます。
まずは、BS/PL対比チャートで財務状況を概観します。
製造業の場合、BSの方が大きいところも多いのですがPLと同程度、総資産回転率はほぼ1倍です。しかも資産に占める固定資産も小さめで資産効率が高そうです。一瞬ファブレスか?と思いましたが、ちゃんと工場もある会社です。利益の幅も随分広く感じられます。次は、個別の財務諸表の推移です。
売上は右肩上がりで2016年のほぼ2倍。利益率も高く年々純資産が積み上がっている様子がわかります。営業キャッシュ・フローも好調、フリー・キャッシュフローも十分にあり、継続的な研究開発資金にも不安はなさそうです。BSを見る限り、チャート化する必要もないほど、流動比率は高そうですが、とりあえず描いて見ます。
流動比率は、直近で3.22倍。チャートの流動資産の部は、BSとは逆に現金から積み上げてるのは、当座比率を推定できるようにするための工夫で、有価証券(Securities)までで見た当座比率でも2倍はありそうです。次は、各段階利益です。
Gross Profit(売上総利益)率で40%程度、Operating profit(営業利益)率で24%というのは、製造業としてはかなり高めです。製造業でも業界によって利益率も異なりますが、半導体機器関連は特に高いのかも知れません。時間があれば、半導体業界比較もやってみたいと思います。営業利益率は、前期から微減ですが売上が伸びているので、最終益は20%程伸びています。気になるのは在庫の状況です。棚卸資産の回転効率を日数で測ってみましょう。
棚卸資産回転日数は、昨年から10%程度短くなって回転効率は上がっています。在庫から見ても業績に陰りはありません。出口が見えない米中貿易戦争の真っ只中、更なる円高も見込まれるところで、今期も同様の成長が期待できるかについては不透明な要素が盛りだくさんですが、前期までで見る限りピカピカの成長企業に見えます。
今回は、英語ラベルを使って財務諸表チャートを作って見ました。現在開発中のXBRLチャートシステムは、今秋に向けて公開を目指していますが、ボタン一つで日本語・英語を切り替えられるようにするつもりです。
なお、チャート内にある勘定科目以外の分析系のラインチャートの文言(Current ratio, Inventory turn over など)は、こちらで追加しているものでXBRLから得られたものではありませんので念のため。ネット検索しながら自分で当てた英語なので間違いがあれば私の問題です。
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