【コラム】国際会計基準IFRSのXBRLを可視化してみる。武田薬品とカカクコム

これまで、金融庁のEDINETでは、国際会計基準IFRSを採用している企業の連結決算がXBRL内にHTMLを埋め込む形で提出されていて、データとして処理できないことをこのブログでも何度か指摘してきました。7月に入って3月決算企業のXBRLがほぼ揃ったので、データベース化を進めていたところ、IFRS適用企業のXBRLの中にHTMLブロックではなく、XML化されたデータが含まれているのに気づきました。EDINETのホームページでIFRSのXBRL化については、2019年3月以降のような記載を以前見てはいたのですが、てっきり今年の4月から始まる新年度分からだろうと思っていたのでびっくり。とりあえず10社程度のXBRLを検証し、開発中のチャートシステムのIFRS対応を始めました。

IFRSを採用している企業には、国際的に活躍している日本企業が多く含まれています。それらの企業の連結財務諸表が可視化できないのでは、今後システム公開しても価値も半減、作りがいがないなと思っていたところでした。ソフトバンクや武田薬品など大掛かりな買収で財務諸表の形がダイナミックに変化する様子なども見ることができません。ちなみに通信大手3キャリア、大手商社や大手薬品会社は大体IFRSです。

とりあえず基本3諸表は出せるようになったので例示してみます。ただ、IFRSのXBRL化が出来た折りには、過去分も再提出されることを期待していたのですが、流石にそこまではやらないようで直近分だけでした。決算期のXBRLには前年度分が含まれるので都合2年分が可視化処理の対象になります。以下は昨年シャイアーの巨額買収で話題となった武田薬品の連結財務諸表です。

武田薬品の連結財務諸表推移(IFRS) 2019年3月期

IFRSになると用語や勘定科目も色々変わります。これまでこのブログで取り上げたチャートの貸借対照表は財政状態計算書、固定資産が非流動資産に、純資産が資本になりました。勘定科目については、IFRSのタクソノミを実装しているので勝手に変化しますが、追加で入れているラインチャートの「純資産比率」等の用語はまだ検討中です。他の分析チャートの用語についも今後検討するつもりです。

チャートを見ると武田薬品のダイナミックな変化の様子がわかります。総資産は前期から3.5倍。その割に売上が16%しか伸びていないのは、期中の買収でシャイアーの寄与月数が少ないためでしょう。買収の威力がPLにも現れるのは今期決算からになりそうです。キャッシュ・フローにもその巨額投資、巨額資金調達が表れています。

開発中のシステムでは、デフォルトで過去4年分のデータを推移チャートにしていますが、4年以上前からIFRSを採用している会社については、2年以上前の連結財務諸表のXBRLが存在しないので、先の武田薬品のチャートのように2年分になります。一方ここ数年でIFRSに変わった会社では、日本会計基準のXBRLと組み合わせれば無理矢理にでも推移チャートにできそうです。ただその場合、会計基準の違いを明示しないと誤解を招きそうです。例えば電通のように、IFRSに変更したことで見かけ上の売上が半減したような会社もありますし、日本会計基準とIFRS混成チャートでは、会計基準の明示は欠かせません。表示の仕方には、少々悩みましたがなんとか作ってみました。以下は、2年前にIFRSを採用したカカクコムの連結財務諸表の4年推移です。

カカクコムの連結財務諸表推移(IFRS) 2019年3月期

混成チャートになる場合は、年度の下に会計基準を入れました。勘定科目もダブってしまうので、(IFRS)を明示しています。カカクコムについては、会計基準変更による大きな変動はなかったようです。恐らく業界にもよるのでしょう。余談ですが、IFRSは連結財務諸表に適用されますが、単独の非連結財務諸表には適用されません。そのため先に挙げた電通では、単独の売上が連結の売上を上回る状態になっています。

開発中のシステムのIFRS対応については、基本3諸表の対応はほぼ終わり、このブログでも掲載している各種分析チャートについてもほぼ動いています。ただ、まだ10社程度の分析ではあるのですが、IFRS採用企業のXBRLには、各会社で個別に定義された勘定科目も多めで、その中にはちょっと処理に困るようなケースも出てきています。XBRLは、柔軟性もあって各企業で必要な勘定科目はタクソノミに個別に追加することができます。私のシステムでは、標準のタクソノミに加えて各企業定義のローカルタクソノミをマージして可視化処理をしているので、勘定科目の追加自体は問題ないのですが、勘定科目間の構造が想定外のものになると困ったことになります。本来バランスして表示されるものがバランスしないとか。もちろん私のソフトが悪いのですが。悩んでいるのはソフトバンクグループのXBRL。何に困っているのか等についてはまた記事にしたいと思います。

余談ですがIFRSについては、最近「会計グローバリズムの崩壊、国際会計基準が消える日」(田中弘著)を読みました。IFRSは、ソフトバンクやファーストリテイリングなど日本でも先頭を走っている企業が採用する進んだ会計基準という印象を持っていたのですが、この本を読んでみるとこの先大丈夫なのか?と思ってしまいます。特にブレグジット後。ご興味のある方は読まれてみては。ちなみにアフィリエイトリンクじゃありません。

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