【勘定科目Tips】流動資産「動物」?

XBRLをベースにした財務諸表の可視化システムの公開に向け、これまでブログで紹介してきた各種チャートの見直しも行なっています。流動比率のチャートについては、流動資産、流動負債をペアにしたスタックチャートに、流動比率を折れ線グラフで重ねて作っていたのですが(過去の紹介記事)、当座比率の雰囲気がよりわかりやすいような変更を試みました。流動比率は、企業の支払い能力を表す指標ですが、当座比率は流動資産の中でも現預金、売掛金、有価証券など換金しやすいものをベースに計算したものです。これまでの版でも流動資産の細目は、下から換金しやすい順に積み上げるようにして、当座比率の見当が付くようにしていたのですが、今回更に色分けすることにしました。コーディングを終えて、テストがてらいろんな会社の流動比率を眺めていたら、ちょっと変わった流動資産を見つけました。新しくなった流動比率チャートの紹介も兼ねて取り上げてみます。以下は、東証1部上場のフィード・ワン株式会社の流動比率です。

フィード・ワン社の流動比率推移 2019年3月期

流動資産の内、当座資産を青系、それ以外を緑系で色分けしました。色のセンスはともかく、当座資産で流動負債のどのあたりまで手当てできるのか視覚的にわかるようになっています。XBRLのタクソノミには、どの勘定科目が当座資産であるかといった属性はないので、こちらで抽出しているのですが、業界によっては特殊な当座資産もあったりして取りこぼす可能性もあり、あくまで目安として色分けしています。当座比率をチャートとしてプロットしなかったのはその曖昧さがあるためです。

ところで、フィード・ワン株で目についたのは、流動資産の「動物」なる勘定科目。なんだこれ? 知らない会社だったのでホームページを見てみたところ、畜産飼料等を扱っている会社のようです。事業紹介で、動物らしきものを探してみたところ、クロマグロの完全養殖に挑戦中とあるので、この「動物」はクロマグロのことかも知れません(単なる憶測で実際のところは不明です)。

科目コードは、「jpcrp030000-asr_E30728-000_Animals」で、コードの中にこの会社のEDINETコード、E30728が含まれているので、この勘定科目はこの会社が敢えて標準のタクソノミに加えたものであることがわかります。売るための動物なら、商品でも仕掛品でも良さそうですが、「動物」として敢えて分けたのには、きっと明確な意図があるのでしょう。動物だけ抜き出してチャートにしてみると、毎年減っているようです。

フィード・ワン社の流動資産「動物」推移 2019年3月期

勘定科目の名前は、無機質なものが殆どですが「動物」という生々しい単語がやたら目についたので取り上げてみました。ただそれだけの話なのですが、お題が「勘定科目Tips」なのでこんなところで。

ちなみに、他の畜産関係の会社もいくつか探ってみましたが、「動物」の類は見当たりませんでした。動物園の財務諸表なら、資産の部にライオンとかキリンとか白熊とかが科目になって並んでいるのだろうか?

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