【財務分析】倒産危険度ランキングで選ばれた企業の財務諸表を可視化してみる。

本屋さんで経済誌のバックナンバーを見ていたら週刊ダイヤモンドの7月号に「倒産危険度ランキングワースト30」というのがありました。検索してみたら同誌のオンライン版でも掲載されているようです。3ヶ月前の記事でちょっと古いのですが、こういうネタで掲載される会社の財務諸表はどんな感じなのか興味が湧いたので、公開している財務チャートシステムで描いてみました。さすがに30社扱うわけにもいかないので、ベスト8ならぬワースト8で取り上げてみました。まずは、BS/PL対比チャートで各社の財務状況を概観してみます。なお、以降のチャートは、こちらで各種分析のできるインタラクティブチャートとして表示できますのでご参照ください。また、1位の小僧寿しは12月決算のため、ここでのチャートは昨年12月時点になりますのでご注意下さい。

経済誌に倒産危険度で選ばれた企業(2019年)の財務諸表のBS/PL対比チャート
週刊ダイヤモンドの記事で倒産危険度ワースト30(2019年)に選ばれていた会社のBS/PL対比チャート

純資産がゼロ以下に描かれている会社は債務超過を意味します。小僧寿し、中村超硬、フルッタフルッタの3社は債務超過です。また、「当期純利益又は当期純損失」が損益計算書の右側(貸方)にある場合は、収益より費用が上回っていることを意味しており純損失、赤字であることを表します。ワースト30に選ばれるだけあって全社赤字ですが、単に赤字というだけでなくその赤字幅の大きさが目立ちます。次は、貸借対照表の推移でここに至った経緯を見てみます。

経済誌に倒産危険度で選ばれた企業(2019年)の貸借対照表推移チャート
週刊ダイヤモンドの記事で倒産危険度ワースト30(2019年)に選ばれていた会社のBS推移

貸借対照表の推移を見ると各社各様、小僧寿しやフルッタフルッタのように連続赤字で年々純資産が溶けていったような会社もあれば、中村超硬のように純資産比率45%台から一転して債務超過に陥った会社もあります。次は各段階利益率。

経済誌に倒産危険度で選ばれた企業(2019年)の各段階利益推移チャート
週刊ダイヤモンドの記事で倒産危険度ワースト30(2019年)に選ばれていた会社の各段階利益推移

見たまま業績不振のチャートが並んだ感じですが、営業利益ならともかく売上総利益(粗利)の段階で既に赤字になっているところもあります。一方で一部の会社には復調の兆しがあるようにも思えます。なお、エディアについては昨年度まで単独のみで連結決算がなかったため1年分の表示となっています。気になる方は本サイトで非連決算のチャートを参照下さい。次は支払能力を示す流動比率。

経済誌に倒産危険度で選ばれた企業(2019年)の流動比率推移チャート
週刊ダイヤモンドの記事で倒産危険度ワースト30(2019年)に選ばれていた会社の流動比率

流動比率は、一般に最低でも1倍以上とか言われますが、お金の回転が早い業種によっては0.5倍程度でも普通だったりするので一概に悪いとは言えません。資産側は青っぽい色までが資金化しやすい当座資産を表していますが、小僧寿しとフルッタフルッタはかなり厳しそうです。その他の会社では流動比率としてはそれほど悪そうには見えません。特にfonfun社については、流動、固定を合わせた全負債よりも現預金の方が多く、財務的には余裕がありそうです。同誌の危険度の評価は、売上高、純損益、有利子負債、利益剰余金をベースにしているようですが、最初の3つはここまでで登場しているので、残りは利益剰余金です。各社の株主資本の内訳を見てみます(以下のチャートは、財務分析チャート画面で、BSを表示し純資産を表すピンクのブロックをクリック(タップ)すると表示されます)。

経済誌に倒産危険度で選ばれた企業(2019年)の株主資本推移チャート
週刊ダイヤモンドの記事で倒産危険度ワースト30(2019年)に選ばれていた会社の株主資本明細推移

利益剰余金も全社マイナスです。当然ながら債務超過の3社は株主資本が純額でマイナスです。先に触れたfonfun社については、利益剰余金は約▲25億円、株主資本も純額で3億円程まできており、このままだと債務超過も時間の問題ということでのワースト6位なのかも知れません。なお、利益率チャートにもその兆しはありますが、業績自体は回復基調のようで、同社のIRを見たところ今期第一四半期は黒字に転換しているようです。fonfunという会社は今日初めて知ったのですが、ぜひ通期黒字を達成して反転攻勢していただきたいものです。

ところで利益剰余金がマイナスといってもそれ自体は借金というわけではなく、いつまでに返済するとか金利がどうのという話でもありません。企業の業績によって年々積もっていくものですし、それ自体で破綻リスクの評価をするというのはちょっと意外な感じもしました。公開中の財務チャートシステムでは、スタックチャート上のブロックをクリックすれば個別の明細チャートを表示できるので、利益剰余金については明細チャートで見れれば十分かと思っていましたが、今後調査してこの科目にまつわる有効な財務指標があれば別途チャート化も検討してみたいと思います。

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