【コラム】財務諸表の散歩道。財務状況を視覚的にとらえるトレーニングコース。

株式投資の参考資料として代表的なものに四季報があります。デジタル版もありますが紙媒体も根強い人気があるようです。季節毎に本屋さんに山積みになっていますし、四季報を活用した投資術のような書籍も見かけます。あの分厚い四季報を読破する人も少なからずいるようで、そのようなコミュニティもあるようです。自分では四季報を読破したことはありませんが、数多くの財務データに日々触れることによって、企業財務データから直感的に財務状況を把握したり、業界、ひいては市場全体の動向を感じ取れるような感覚も身に付くのかも知れません。

XBRLをベースにしたチャートシステム「財務諸表ハック」を開発するに当たって意識したのは企業の財務状況を視覚的に認識できること。四季報は数値データが中心ですが、「財務諸表ハック」はチャートが中心。可視化された財務データを日々目にすることで、財務分析もパターン認識としてその能力を獲得できるかも知れません。

しかしWebサイトは四季報をめくるように読破と言うわけにはいきませんし、代わりに何か良い方法はないのか? そこで少しずつ財務諸表をめくっていく機能として二つの散歩道を作ってみました。トップページの中段にそれぞれの散歩道への入り口を設置しています(以下)。

財務諸表の散歩道の入り口、ランダムウォークと順路

一つは順路。金融庁のEDINETコードの若い順から4社ずつブラウズする方式。入力窓で順番を指定すれば該当する企業から表示していきます。現在の位置は、Cookieで記憶するので次回からはそのままボタンを押せば順番に企業データを呼び出します(ただ、スマホやパッドではCookie自体の拒否、保存期間の制限がかかっていて履歴を残せない場合もあります)。一歩一歩最初から最後まで通して見たいと言う方にお勧めです。

もう一つはランダム抽出。データベースのランダムな位置から連続する4社を抽出します。偶然出会った名前も知らない会社を財務分析してみるのも面白いかと思います。毎日続けるのは性に合わないけれど、たまに財務分析を楽しんでみたいと言う方にお勧めです。私自身は時々ランダムに覗いています。たまに興味深い会社に出会ったり。

財務諸表には、業界によっても表情が変わります。巨大な固定資産をベースに事業を行っている会社もあれば、小さな資産を高回転させて稼ぐ会社もあります。ある程度のボリュームで日々財務諸表を眺めていれば、可視化された財務諸表の表情を見るだけで業績や成長性だけでなく、その会社の事業内容まで類推できるようになるかも知れません。

そうして訓練を重ねたらその力を試してみたいのも。「財務諸表ハック」では、財務諸表クイズも検討しています。例えばこんな感じ。

財務諸表クイズ サンプル1

このサンプルは、帝国ホテルとホテルニュオークラの財務諸表チャートからどちらがどのホテルなのか推測する問題です。この画面だけで推測できる方もいらっしゃるかも知れませんが、わからなければご自分で科目明細チャートを開いたり、各種財務分析チャートを開いたりして手がかりを探すと言うクイズです。まだサンプル程度の出来ですが、このクイズに挑戦してみたい方は、こちらからクイズを開いてください。この問題は有形固定資産内の建設仮勘定の動きがヒントになります。このチャートからどのように固定資産明細に進んで行くかは「チャートの使い方」を参照ください。よろしければ、どこで分かったかや感想をコメントなり、ツイートしていただけると励みになります。ついでにもう一問。

財務諸表クイズ サンプル2

こちらは、JR東日本とJR東海の貸借対照表をベースとした問題。このクイズに挑戦してみたい方は、こちらからクイズを開いてください。ヒント無しでわかる方も多いのではないかと思います。

このクイズモードは解答欄等もなく素っ気ないものですが、回答に必要な手がかりがどの財務データに潜んでいるのか自分で推理して探っていく過程を楽しんでもらうものです。

実は、このサンプルの2問は、以前個別のブログ記事としてあげたものなのですが、その後Webサイトに仕組みとして作り込んでみました。仕組みとしてはURLパラメタだけで自動生成するクイズになっており、いずれ仕様を公開して、誰でも問題を作って公開できるようにすることも検討中です。今のところはまだ開発中で、もう少しアイディアを練ってみるつもりです。例えば解答欄を作ったり、回答までに何個チャートをめくったかカウントしてスコアにするとか、….。

なお、このサイトで掲載している各種財務チャートは、ある程度会計の知識がないと意味不明のものも多いかと思います。最近は会計リテラシーの重要性について語られることも多くなりましたが、そう言ったテーマの書籍も溢れています。これまで会計には縁遠く、この機に勉強してみたいと考えている方には、そうした本を読まれす際の参考資料としてこのサイトも使っていただけると幸いです。

このサイトを作るにあたって参考にしたXBRLや簿記、会計、財務分析についての書籍についても今後取り上げてみたいと思います。

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