【参考図書1】 「ビジネススクールで教える経営分析」(日経文庫)

株式投資関連のサイト、例えばヤフーファイナンス等では、売上や利益と言った科目単体のチャートをよく見かけますが、こうしたチャートでは企業財務のごく一部しか反映しておらず企業全体の財務状況を把握するには不十分です。「財務諸表ハック」で表示している財務3諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)のチャートは、会計、財務分析関連の書籍で良く見る形式を採用しています。ただこのような形式のチャートは会計の基礎知識がなければ読み解くことはできません。

そこで会計には縁遠かったけれど財務諸表に興味がある方向けに、財務チャートを読み解く参考文献の紹介をこのブログの新たなジャンルとして始めたいと思います。掲載している書籍の画像はアフィリエイトリンクがかかっていますのでご了承ください。(Amazonアソシエイトにしたかったのですが審査に落ちたので楽天ブックスにしました。御支援の程)

日経文庫の「ビジネススクールで教える経営分析」(太田康広著)は、スーツのポケットにも楽に入る文庫本でありながら内容は充実しています。会計の初心者にはちょっと内容的に厳しいかも知れませんが、薄い本なのでとりあえず読み切ってみて、興味が湧けばもう少し基本的な会計本をあたってみるのも良いかも知れません。「財務諸表ハック」では、貸借対照表と損益計算書を比例縮尺で1つのチャートに描くBS/PL対比チャートを分析チャートに加えていますが、それもこの本を参考にしたものです。企業財務の表情を捉えるにはこの対比チャートはとても便利で、例えばこの本でも取り上げられているキッコーマンの財務状況をBS/PL対比チャートで描くと以下のような形になります。

キッコーマンのBS/PL対比チャート
キッコーマンのBS/PL対比チャート 2019年3月期

このブログでは書評と言うより、実際に本を読んでみようかという方のために、その中で紹介されている企業について、該当する「財務諸表ハック」チャートへのリンクを一覧し、参考資料にしてもらうことを目的としています。本の内容は色あせなくても、サンプルとしての財務データは日々変化しているので、直近のデータも確認しながら読み進めるのも面白いのではないかと思います。本に掲載されている会計年度の財務諸表から、何がどのように変化したのか追ってみるのも一興、と言うことで前述の本で取り上げられている企業を章を追って「財務諸表ハック」のチャートにリンクしてみました。

第1章 ひと目でわかるように

 NTTドコモキリンとアサヒ

第2章 ビジネスのスピード

 2.1 どっちが大きい: キッコーマン

 2.3 大きなPL: ティーガイア東都水産ぴあ

 2.4 重いBS: 東京電力東京ガス

 2.5 すごく小さなPL: 森ビル三菱UFJフィナンシャル

第3章 キャッシュまでの距離

 3.1 どれぐらいで回収しているか: 島精機製作所

 3.2 どれぐらい先に回収しているか: TAC

 3.3 どれくらいで支払っているか: ファミリーマート(IFRSのため直近のデータなし)

 3.4 どれくらい先に支払っているか: テクマトリックス

 3.5 おカネを払っておカネに戻るまで: アップル

第4章 利幅とスピードと借金の力

 4.7 デュポン展開: ファナック

第5章 この会社、カネ貸して大丈夫か?

 5.1 キャッシュが王様: 任天堂、スカイマーク、TASAKI(非上場会社)

 5.4 東京電力の震災後決算: 東京電力

企業サンプルがあるところのみ抜き出してみました。会計初心者の方なら、第1章、第2章を読むだけでもBSとPLの関係性を掴めるのではないかと思います。第3章以降は少し専門的な内容になりますが、サンプルを含め簡易な言葉で丁寧に説明されています。

上記のリンクを辿って「財務諸表ハック」のチャートを開くとBS/PL対比チャートが開きますが、初期状態では流動資産、固定資産と言った集計科目にサマライズして表示されます。ただしこのチャートはインタラクティブに作られており、チャート内の勘定科目をクリック・タップすれば、より詳細な勘定科目明細が表示されるようになっています。初期表示のBS/PLチャートからさらに科目明細チャートに潜って書籍の内容を確認することもできますのでご活用いただければと思います。チャートの使い方はこちら

今後もこのような形で書籍紹介を続けてみたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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