【財務分析】紳士服チェーンの苦境?(青山、アオキ、コナカ、はるやま)

XBRLチャートシステム「財務諸表ハック」では、今のところ本決算のみをサポートしています。昨年公開に向けた開発過程の中で、四半期決算はとりあえず保留したのですが、今後どうするべきか検討中です。そこで四半期決算のデータがあればどんな景色が見えるのか試しに一つ記事を書いてみます。

題材は、昨年12月にダイヤモンド・オンラインに出ていた「脱スーツ」で19年ぶりに赤字転落した紳士服業界を詳細分析」と言う記事。有料購読するお金もないので実際に見れるのは記事の導入部だけですが、興味深いのでこちらも便乗して紳士服チェーンの苦境を財務チャートで確認してみたいと思います。業界トップ4社は、青木、アオキ、コナカ、はるやまです。このうちコナカは9月決算、それ以外は3月決算です。まずは、前年度決算までのPLの年次推移から。

紳士服チェーン上位4社の損益計算書年次推移

上位2社は、売上で2000億円規模、下位2社は600億円と開きがあります。業界的にはなんとか売上は維持しているようですが利益率は年々落ち気味。下位2社は前決算期で赤字に転落しています。そしてついに業界トップの青山商事も赤字に落ちたと言うことでニュースになったようです。では四半期推移で見てみます。

紳士服チェーン上位4社の損益計算書四半期推移

四半期ベースではPLは累積になるので、第一四半期から本決算に向かって積み上がる形になります。利益率推移で見ると、この業界は4月〜12月はトントンか赤字、1月〜3月が書き入れ時で、ここで年度の利益を上げているようです。普通に考えて1〜3月の黒字は新卒需要。とすると少子化の影響をまともに受けそうです。それにしても青山商事の落ち込みが目立ちます。ただ、こうして上位4社を並べみると他3社が既に落ちているところで、踏ん張っていた青山商事がここにきて力尽きたという感じにも見えます。次は、四半期ベースのBS推移。

紳士服チェーン上位4社の貸借対照表四半期推移

会計用語ではストック、フローなどと言いますが、PLはフロー、期初で一旦ゼロクリアされ1年間積み上げていきます。一方BSはストックで、長い年月をかけて会社が積み上げた資産・負債の各期末時点のスナップショット。増資などの大きな資金調達や買収などでもないと四半期ベースの変化はあまり見られません。それにしても各社不振とはいえ流動資産は同負債の倍ほどあり、財務的にはまだ余裕がありそうです。次は、在庫の回転状況。

紳士服チェーン上位4社の棚卸資産回転日数四半期推移

棚卸資産はストック、売上、原価はフローの混成チャートです。ただし売上、原価は月平均にしているので四半期とともに積み上がる形にはなりません。青山商事は業績悪化に伴って回転日数が急上昇しています。一方で目を引くのはAOKI。同業他社の回転日数が原価ベースで200日以上なのに対し半分の100日以下で回っています。と言うか、逆にアパレル系で200日以上はむしろ長すぎる気が。ちなみに、ファーストリテイリングは128日、しまむらは50日でした。紳士服は賞味期限が長いからか?

四半期ベースでみると、今期紳士服業界は確かに厳しい状況にあるようで、直近で全社赤字です。ただ季節要因も強く1〜3月のこれからが書き入れ時なので、通期では黒字転換の可能性はまだあります。

今回開発環境を使って四半期決算のチャートを作ってみたのですが、業界の季節要因もわかりますし、その時々の経済・企業ニュースに合わせて財務状況のチェックも可能です。金融庁のXBRLリポジトリEDINETは、決算発表からXBRL登録まで3ヶ月程かかるので本決算だけだと直近が最悪1年数ヶ月前なんてことにもなってリアルタイム性がちょっとです。

ここは公開中のチャートシステムでもサポートしたいところですが、四半期データを取り込むとなるとデータ量は4倍。データのメンテナンス作業も4倍、何より今借りている安いレンタルサーバのリソースで足りるのか。まだ収益化もできていないのに更なる投資となると…。貧すればドンする?とも言いますし、ここはあえて前進あるのみか? 紳士服業界どころじゃなく、こちらも厳しい。

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