財務諸表チャートを読み解くための参考書紹介の3回目は、東洋経済新報社から出ている「なぜ、会計嫌いのあいつが会社の数字に強くなった?」です。著者は村上裕太郎氏で慶應義塾大学ビジネススクールの先生です。ちなみに第一回目で紹介した日経文庫の「ビジネススクールで教える経営分析」の著者、太田康広氏も同校の先生です。
この本は会計本の堅苦しさを廃して、架空の登場人物3人による対話形式となっています。その内一人は会計知識ほぼゼロの営業マンの設定になっていて、会計初心者でも取り組みやすい形で話が進行していきます。どの章でも、誰もが知っている会社の財務諸表を例に、同業複数社を比較しながら、どのポイントで財務諸表を評価するのかわかりやすく解説されています。複数社の貸借対照表や損益計算書の比較には、比例縮尺で図形化した「比例縮尺財務諸表」が使われていますが、【財務諸表ハック】の「比例縮尺」オプションは、これを参考にしたものです。
ここからは前回までと同様に、この本の各章で取り上げられている企業の財務諸表チャートリンクを一覧します。但し、クイズ形式になっているところはネタバレになってはいけないので、本に掲載されている仮名通りA社などと表記します。クリックすると、実際の会社名が表記されたチャートが表示されますのでご注意ください。
第1章 大きいボックスに注目するだけ! 比例縮尺財務諸表
第2章 回らない回転寿司が、なぜ増えているのか? 損益計算書(PL)と利益
A社、B社(2社比例縮尺)
第3章 二束三文の土地で高収益 テーマパークの謎 貸借対照表(BS)と有形固定資産
第4章 医薬品メーカーはギャンブル銘柄!? 貸借対照表(BS)と無形固定資産
第5章 お金の流れで見る、牛丼屋の戦い キャッシュフロー計算書(CF)と経営戦略
第6章 コンビニオーナーの憂鬱 コンビニ会計と経営者
第7章 なぜあの会社が? 急成長の秘密を探る! SPAモデルと利益率
第8章 テレビ局が、なぜ化粧品を売っているのか? セグメント情報と儲けの中身
A社、富士フイルム(米国会計基準のためデータ無し)
第9章 財務諸表は経営者の哲学を映す鏡! 会計と経営哲学
この本の発行年度は2016年7月ですが、発行されてから本日(2020年1月)までの間に、掲載されている会社のいくつかは巨額買収を重ねたり巨額ファンドを立ち上げたりして大きく変貌を遂げています。本の内容を確認しつつ、【財務諸表ハック】のチャートで今日の状況を付き合わせる形でご利用いただけたら幸いです。