本屋さんのビジネス書コーナーを巡っているとたまに会計や財務諸表を題材にした特集を見かけます。先週立ち寄った時も週刊ダイヤモンドの「会社の数字に強くなる！ 現場で役立つ会計術」というタイトルが目につきました。その本屋さんはよくある喫茶店と区画を共有した店舗だったので、早速購入してコーヒーを飲みなが読んでみました。
内容は、いくつかの企業の財務諸表を使った選択問題をベースに貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を説明する基本編にはじまって、後半は個別企業の分析を通じて各種経営指標を詳しく紹介されています。なかなか読み応えのある内容でした。コーヒーブレイクにはぴったり。
せっかくなので基本編で取り上げられていた選択問題を、財務諸表ハックで描画するとどんな感じになるのかやってみます。財務諸表ハックでは、URLパラメタで財務諸表問題を作れるようになっています。
まずは、貸借対照表（BS）編で設問に挙げられていた2社をクイズ形式で描いてみます。
上のチャートは、財務諸表ハックのURLパラメタで財務諸表問題を作成する機能で描いたものです。（財務諸表ハック問題リンク）。週刊ダイヤモンドの問題では任天堂がどちらかを当てる問題になっています。株をやられている方なら任天堂が無借金で多額のキャッシュを持っているという話は有名なので秒殺で判るかと思います。ちなみに現預金は流動資産に含まれます。
次は、メルカリとブックオフの設問を、財務諸表ハックで描いてみます。
問題リンクはこちら。両社はいずれもここ2、3年で上場した会社ですが、ポイントは固定資産の割合あたりかと。個人的にはメルカリ上場時にIPOが当たった思い出があり、その後の乱高下時に再三財務諸表もチェックしていたのでどちらがメルカリかは瞬殺で判りました😃。
次は、損益計算書に関する設問に登場する3社のPL（税引前損益）を並べてみます。
財務諸表ハックの問題リンクはこちら。C社のPLチャートには抜けがありますが、これはIFRS適用会社のためでその理由は、以前書いたものがあるのでご興味のある方はこちらをご参考まで。
掲載されていた問題は営業利益をベースにしたものですが、ここでは税引前損益にしています。財務諸表ハックで作る財務チャートは各社が金融庁のEDINETに登録しているXBRLから作成しているのですが、3社の内1社はIFRSを採用しておりその会社のXBRLの構造に営業利益がないため、税引前損益で合わせました。
掲載されている説明によれば、選択肢となっているファミマ、サイゼリア、マツモトキヨシはそれぞれ業態が違っており、それぞれの減価率、販管費の違いに着目して判断すべしとのこと。だとすると外食や薬屋さんの減価率は想像がつくのでファミマは多分….。ファミマの事業は主にフランチャイズであることもポイントです。
損益計算書でもう一問。
原題ではPLのみの比較ですが、こちはらBS・PLを組み合わせたチャートにしてみました。財務諸表ハックの問題リンクはこちら。問題の趣旨は、同じアパレル業界とは言えビジネスモデルは3社3様で、その違いを財務諸表から読み取れということかと思います。
次はキャッシュフロー計算書の問題から。
特集で掲載されていたキャッシュ・フロー計算書のチャートは、ウォーターフォールチャートと呼ばれている形式なのでこちらのチャートとは見栄えは全然違います（財務諸表ハックの問題リンクはこちら）。いずれにしろチャートから読み取れるのは、一方の会社は主に財務活動で資金調達して投資活動を行なっており通信会社というより投資会社なところ、なので…。
週刊ダイヤモンドの特集では、これら基本編からさらに詳細な会計のお話に入っていきます。正直、BS、PLを知らない人がいきなり読み通せるかは疑問ですが、この手の雑誌を買うような人はそれなりレベルの予備知識があるのでしょう。週刊ダイヤモンドでは12月にも「決算書100本ノック」という特集をやっていました。会計に興味のある方にはこちらも面白いかと思います。
記事の更新も随分久しぶりになってしまいました。個人的には引っ越しも完了し、家具など環境も一通り整ったので、このサイトの改良に本腰を入れて取り組んでみたいと思っています。ご意見ご要望などいただけたら幸いです。
