【コラム】XBRL計算リンクから勘定科目の構造を見る

このブログで公開している各種チャートは、XBRLの計算リンクから得られる勘定科目の階層構造を利用して作っています。では、実際にどのような計算構造で各財務諸表が成り立っているのか、実際の企業のXBRLからいくつか具体例をあげてみます。

以下、金融庁のEDINET、米SECのEDGARからサンプルを作ってみました。

社名決算期財務諸表リポジトリ
日産自動車2018年3月期 BS , PL , CF EDINET
東京電力2018年3月期 BS , PL , CF EDINET
みずほフィナンシャルグループ2018年3月期 BS , PL , CF EDINET
森ビル2018年3月期 BS , PL , CF EDINET
ニトリ2019年2月期 BS , PL , CF EDINET
Apple Inc2018年9月期 BS , PL , CF EDGAR
Netflix Inc2018年12月期 BS , PL , CF EDGAR

製造業、電力、不動産、金融、小売の業界から選んでみました。BS, PL, CFは、それぞれ貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フォロー計算書を表しています。勘定科目の背景は、薄青が借方(debit)、薄赤が貸方(credit)にしています。貸借のような勘定科目の属性は、XBRLスキーマでbalanceとして定義されています。但し、EDINETでは、キャッシュ・フロー計算書の各種増減を表す科目に貸借が定義されていないので背景は白にしています。同様の科目に対して米EDGARは貸借を定義しているので上記のApple, Netflixのキャッシュ・フローでは色付けされています。キャッシュの増減を表す科目に貸借が定義できるのかというのは会計学的な議論になるのかも知れません。各セルに表示されている各勘定科目名は、XBRLのラベルとして定義されているものです。その下に記載の英文字列は勘定科目コードになります。

XBRLを使って可視化システムを作っていて困ることの一つは、国(日米間)、業界や会社によって勘定科目の構造が異なることです。例えば、一般的に資産は、流動資産と固定資産でまず一段あり、更に流動資産の下に現預金、売掛金といった構造になりますが、銀行業界のXBRLでは、資産が流動、固定で分けて集計されていません。米EDGARでは、流動資産はありますが、固定資産は一つの科目でまとめられていません。損益計算書についても、銀行業界では売上総利益(粗利)、営業利益が科目としてありません。また、日本ではおなじみの経常利益(OrdinaryIncome)は、米EDGARにはありません。

その他にも、業界によって勘定科目コードの一部に、”ELE”(電力), “BK”(銀行), “RWY”(鉄道)のような接尾語がついていたり、固定資産が純額のみのところもあれば、取得価格と減価償却累計額まで含まれているものもあったり、細かい違いをあげればキリがありません。

このように構造が一様でないXBRLをベースにチャート作成プログラムを作るには、財務諸表の勘定科目の構造を捉えて、どの層を使ってチャートデータにするかなど工夫が必要です。自作のシステムでは、基本3諸表のチャートに加えて、各種分析チャートも作成しているので、更に細かいレベルで勘定科目の構造を検出し、必要なチャートデータを生成しています。

また、以前にも記事にしましたが、EDINETではこれまで米国会計基準やIFRS適用会社の連結財務諸表は、XBRLとは名ばかりのHTMLブロックで提出されてきました(非連結はXBRLで提出されています)。そのため日本を代表するような多数の会社の連結財務諸表がXBRLで処理できない状況でしたが、IFRSについてはようやく今年度分からXBRLで提出されるようです。実データが出てくるのはこれからになりますが、IFRSになればまた違った構造に対応することになりそうです。

今回は、XBRLで提出されている財務諸表の勘定科目の構造を実例とともに取り上げてみました。これまで、可視化処理で作ってきたのは一般的なチャートでしたが、上記PDFで示したような構造化テーブルのような描き方もあります。XBRLからデータ構造に落とし込んでしまえば、様々な形で応用が可能で、企業の財務状況や経営指標をどのような形で表現すれば直感的でわかりやすいのか、そういったことも更に検討を進めて行きたいと思います。

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